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仏教2500年の歴史を3つに分けて5分で解説します!

約2500年前に誕生したとされる仏教。

その歴史は川の流れのように、いくつもの分岐を繰り返してきました。細かく見ていけば無数の考え方があるわけですが、今日は、その流れをざっくり3つに区切って概観したいと思います!

 

①原始仏教

紀元前500年前後、釈迦が生まれ、教えを説き始めました。釈迦が教えを説いた初期の仏教を、ここでは原始仏教と呼ぶことにしましょう。

 

「人生は苦しみに満ちている。その原因は、私たちの欲望にある。苦しみから自由になるには、私たちの欲望から自由にならなければならない。」

 

これが原始仏教のエッセンスであると同時に、あらゆる種類の仏教の土台となるコンセプトです。欲望から自由になった状態を、「涅槃(ねはん)」とか「悟り」などと呼びます。

 

「もっと便利な◯◯がほしい!」「美味しいものが食べたい!」「いつまでも若く健康でいたい!」「人に褒められたい!」「愛する人といつまでも一緒にいたい!」

…欲望にはきりがありませんが、その全てが満たされることは決してありません。そして、欲望が満たされない時、苦しみが生まれます。苦しみの根は欲望にあるのです。

「四苦八苦」という言葉は、もとは仏教用語です。無限の苦しみから解き放たれるために、まず欲望をコントロールしようというのが、原始仏教の教えです。

 

小乗仏教

インドで生まれた原始仏教は、小乗仏教としてミャンマー・タイ・ラオスなどの国々に伝わりました。(アジアの南の国々に伝わっていったので、南伝仏教と呼ばれます。また、③で説明するとおり、「小乗仏教」という言葉は大乗仏教が勝手につけた蔑称なので、この用語を避け「上座部仏教」と呼ぶこともあります。)

 

小乗仏教では、厳しい戒律に従い、自分自身が悟りを開くことを目的とします。そのためには、家族を捨てて出家する必要があり、異性に触れることすら許されません。いわば、「あらゆる欲望(煩悩)を捨て去るために修行する」のが小乗仏教の特徴です。今でも「仏教国」と呼ばれる東南アジアの多くの国々では、オレンジ色の袈裟を来た小乗仏教のお坊さんがよく見られます。

 

大乗仏教

しかし、あらゆる欲望を捨て去ることが、本当に理想的な生き方なのでしょうか?小乗仏教では出家し修行をしたわずかな「エリート」しか救われないことになりますが、出家などできず煩悩を捨てられない普通の人たちは、苦しみから救われることがないのでしょうか?

小乗仏教に対するこんな疑問から生まれたのが、大乗仏教です。「大乗」とは、「大きな乗り物」という意味です。

 

「自分が悟りを開くためだけに修行するのは、まるで『小さな乗り物』に乗るようだ。私たちは、誰もが救われるための『大きな乗り物』を用意しよう!」

 

彼らは、それまでの仏教を批判して「小乗」仏教と呼びました。エリート主義・出家主義・戒律主義の小乗仏教を糾弾し、「大衆を救うための仏教」を作り上げたのです。

 

大乗仏教は中国で広まり、やがて日本にやって来ます。したがって、日本にある各宗派は、基本的には大乗仏教の一つとされています。大乗仏教小乗仏教に比べ、良くも悪くも戒律の厳守にとらわれず、その意味では「緩やか」であるといえます。大乗仏教は中国など北の国々に伝わったため、北伝仏教とも呼ばれます。

 

ググっと考える!

あえてわかりやすく言えば、原始仏教や小乗仏教は「欲望否定」の宗教です。ここでは、いかに修行して自らの欲望を滅するかが問題となります。

 

このような考え方に対するアンチテーゼが、大乗仏教です。大乗仏教は「欲望肯定」の傾向がある宗教です。そこでは、人間の欲望を頭から否定せず、欲望の肯定にも否定にも「こだわらない」という、「空」の思想が強調されます。この思想は、それまでの仏教に真っ向から挑戦する、革命的な考え方であったと思います。

 

ちなみに、この意味で最も「大乗仏教的」なのが、空海さんで有名な密教だと言えるでしょう。密教に至ると、欲望の肯定が高らかに宣言されます。密教の『理趣経』という経典では、男女の性交さえ、「清浄なる菩薩の境地」であるとして礼賛されています。(さすがのお釈迦様も、これを聞いたらキムタク並みに「ちょ、待てよ!!」と言われることでしょう。)

密教の教えは、釈迦が説いた原始仏教と正反対の考えのように見えますね。ここまで来ると、果たして密教は「仏教」と言えるのかという疑問が湧いてきます。これについては、日を改めて語りたいと思います。

 

まとめ

以上をまとめると…

 

原始仏教や小乗仏教は「欲望否定」の宗教。

大乗仏教は「欲望肯定」の傾向がある宗教。

③日本の各宗派は、大乗仏教の流れの中にある。

 

今日説明した分類は、あくまで便宜的に、仏教について学ぶ一つの視点として役に立つものに過ぎません。様々な人物が説いたそれぞれの「仏教」を理解しようとするときは、この分類にとわられることなく、素直な気持ちで向き合うことが大切だと思います!