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坐禅と金木犀―坐禅やってみよう!

 

京都にいた頃、近くの法然院というお寺に行き、よく勝手に坐禅をしていた。(法然院は禅宗のお寺ではないんだけど、そこはご愛嬌。)

北白川の6畳一間のアパートから5分ほど自転車をこぎ、哲学の道を通ってお寺へ。朝の法然院は、虫と鳥の声が響き渡っていて、澄んだ空気の中に緑の芳しい香りがふわりと漂っている。毎朝同じ時間にウォーキングに来るご夫婦や掃除のおばちゃんくらいしか人はおらず、一等平和で心地よい空間だった。
 
京都のいくつかのお寺で坐禅会に参加したけれど、お寺の建物の中で皆と一緒に坐禅するよりも、どちらかと言うと、一人で屋外で坐禅する方が好きだ。(ちなみに、同志社大学の近くの相国寺というお寺の坐禅会はおすすめ。坐禅のやり方を教えてくれるし、参加者も多く雰囲気がつかめる。お金もほとんどかからない。)
 
「坐禅やったけど煩悩捨てられなかったわ(笑)」という感想を聞くことがあるけれど、おそらく、坐禅の目的は煩悩を捨てることではないと思う。坐禅の目的は、人間として最も落ち着いた状態、また、人間と自然が最も一体になれる状態に近づくように「努める」ことだろう。(実際に凡夫たる僕達がその状態に達することは難しいけれど、それに「努める」ことはできる。)
心を真っ白にしようと努めることで、そして、心を静かに落ち着かせて「無」にすることの難しさを体感することで、逆に、自分の心が今どんな雑念を持っていて、どんな心配事に囚われているかが浮き彫りになる。それだけでもよいと思う。
 
坐禅には「三調」という言葉がある。
まずは、「調身」=姿勢を整える。
次に、「調息」=呼吸を整える。
最後に、「調心」=心を整える。
 
姿勢を整え、呼吸を整えることで、はじめて心が整うという考え方。まさにそのとおりだと思う。
はじめはあまりわからないけれど、何度かやっていると、だんだんと姿勢と呼吸と心が「ピタッ!」とはまっている感じを体験できる。これが非常に心地よい。虫や鳥の声、風や光などが、すべてしみじみと感じられる。毎回この「ピタッ!」という感じを目指して坐禅している。
 
坐禅の作法は色々とあるようだけれど、僕がやっているのは以下のような感じ。(こちらのサイトは写真もあってわかりやすいかも→http://www.rinnou.net/cont_02/suwaru.html
 
(1)足を組む
結跏趺坐か半跏趺坐のどちらかで足を組む。(基本的には「あぐら」ではないので注意!)
・結跏趺坐=両足を組む坐り方。右の足を左の股の上に深くのせ、次に左の足を右の股の上にのせる方法。
・半跏趺坐=片足を組む坐り方。右の足を左の股の下に深くいれ、左の足を右の股の上に深くのせる方法。
体がカタイ人は結跏趺坐も半跏趺坐も難しいかも!体が痛くなってしまっては意味がないので、どちらも無理な人は「あぐら」でもいいかと思います。リラックスできることが大切!(ちなみに僕は、いつも半跏趺坐です。)
 
(2)手を組む
右手を左の足の上におき、その上に左の手をのせて(右手の指の上に左の指が重なるように)両手の親指を自然に合わせる。組み合わせた手は下腹部のところにつけて、両手の親指はかすかに接触させる感じ。
 
(3)姿勢と視線
背筋をまっすぐにのばし、頭のてっぺんで天井を突き上げるようにしてあごをひく。体の力をできるだけ抜いてリラ~ックス!この時、上体を振り子のように左右へ揺らしてからまたまっすぐに戻すと、姿勢が定まる。
目は、見開かず細めず自然に開き(これを「半眼」という。仏像の目もこの感じです)、視線はおよそ1メートル前方に落とす。目をつむると眠気に襲われるので、つむらないこと!
 
(4)呼吸
僕の場合は、「鼻で少し吸って、口から深く長く細くゆっくり吐き出す。吐く時は、お腹の中心(丹田)から空気を全て出し切る」という感じで呼吸しています。
そして、息を一回吐く度に、「ひと〜つ」「ふた〜つ」と(小さな声を出しながら)呼吸の回数を数える。 10まで数えたら、また1に戻る。これを自分が好きな回数繰り返す。
 
(5)心の中
心のなかは、「ひと〜つ」「ふた〜つ」という数を数える声だけでいっぱいにする。他のことは何も考えないように努める。こうして、息の数を数えてそれに集中することを「数息観(すそくかん)」と呼びます。
しかし実際やってみるとわかるけど、「何も考えない」というのは無理(笑) 色んな雑念が心に浮かんでくる。でもそれでいいと思。「あ、自分にはこんな雑念があるんだ!」と気付ければそれでよし。心のキャンバスを真っ白にして、雑念の色が浮かんできたらそれをよく観察してみるのがよいと思う。
 
今朝坐禅をしようと近くのお寺の端っこに行ったら、金木犀がたくさん花をつけていて、とても良い香りがした。金木犀の香りはやはり世界一だなと思った。きっと今日その場所に坐禅に行かなければ、その木が金木犀だとも気づかず、また一年を過ごしていただろうな…。
 
坐禅は、時間がある時はどこか屋外の静かな場所に行ってみて、時間がなければ家の中でももちろんOK!
よければ試してみてください。