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7大宗祖たちの濃厚キャラクター:(3)宗教は国家のためのものか?カリスマ日蓮の国家観

 

日本の宗祖さんたちを紹介するシリーズも、第3回となりました。以前の記事はこちら(↓)をご覧ください。

 

7大宗祖たちの濃厚キャラクター:(1)空海が最澄を嫌悪した理由

7大宗祖たちの濃厚キャラクター:(2)日本人が「愚かなハゲ」に救いを求める理由

 

今回の主役は、現在でも数多くの寺院を見かける、日蓮宗日蓮さんと、臨済宗栄西さんです。

 

日蓮栄西
 
日蓮栄西の二人に共通するのは、他の宗祖たちと比べ、彼らは国家や政治といったものに強い関心を抱いていたという点です。
 
仏教はもともと、飛鳥・奈良時代に鎮護国家のための思想として「輸入」されました。
平安時代に入ると、最澄空海により、仏教が国家のための「道具」ではなく、人間がよりよく生きるための思想であるということが発見されました。とはいえ、この時代の仏教は、まだまだ鎮護国家的な性格が色濃く残るものでした。
 
この鎮護国家のための仏教にNoを突きつけたのが、法然親鸞道元といった鎌倉仏教の宗祖たちです。法然親鸞は、仏教を個人を救済するための思想であるととらえ、その実践方法を説きました。道元も、個人が真の意味で自由を得るための思想として、禅を追究しました。

その意味で、彼らの目線はあくまで私たち一人一人の人間に向けられていたと言えます。
 
これに対し、日蓮栄西は、仏教の思想性を強調するだけでなく、自分たちの宗教でこの国を護り、育てていこうという意思を持っていました。
 
日蓮は語りかけます。

「あの世の浄土にのみ希望を持たせるような法然の教えは、現実の世界で生きるための生の力を弱めてしまう!浄土はこの世にあるのだ!この現実の世界を力強く生き、現実の世界を浄土に変えよう!」
たしかに法然親鸞による浄土の教えは、「厭離穢土、欣求浄土(おんりえど、ごんぐじょうど)がキーワードです。これは、「穢れたこの世を厭い、浄土を心から求めよう」という意味です。

日蓮の目には、このような考え方は遠い目をして現実逃避にふける弱い人間を増やすだけの、愚かな教えに映ったのです。
 
日蓮は、天変地異により民衆が苦しんでいるのは浄土宗のような邪宗のせいだとして、実権を握っていた北条氏に対し、自ら著した立正安国論守護国家論を奏上しました。これらの書物により日蓮は、この現実の世界に浄土を実現することを目指し、この方針を採用しないと他国侵略の難があると予言しました。(後日、蒙古襲来という形で、日蓮の予言は的中することになります。)
また彼は、この世における浄土実現のためには武装闘争も辞さないという姿勢であり、「安国」(この世における浄土)の実現を政治的に行おうとしたのでした。
 
日蓮は、どんな苦難にも負けず、自分の信念に基づきどこまでも突き進むエネルギーに満ち溢れた人間でした。この国のために「正しい」と信じたことは決して譲らず、異なる考えは徹底的に排斥しようともしました。また、彼が力強く物語る姿は多くの人を魅了し、カリスマ的な存在になっていたといいます。

そこで僕は、彼を「猪突猛進のカリスマ」と呼びたいと思います。

 

※    ※    ※

 
栄西も、日蓮と同じように、自らの教えが国のためになるという思想の持主でした。
栄西は、禅の教えは国を守っていくものであるとする『興禅護国論』という書物を著しています。結果的に、彼は鎌倉に下り二代将軍源頼家の庇護を受け、1205年には京都に最初の禅寺「建仁寺」を完成させ、禅宗を広める土台を築きました。


また、彼は日本に茶の文化を広め、茶の薬効を知らせるために、『喫茶養生記』という有名な書物も記しました。
茶道や禅が今日でも日本文化の代表として健在するのは、ほかでもない栄西のおかげであると言ってよいでしょう。その意味では、栄西は間違いなく「茶と禅の伝道師」なのです。

 

※    ※    ※

 

宗教と国家のかかわりを抜きにして、日本の歴史を学ぶことはできないと言っても過言ではありません。その意味で、日本史上における日蓮栄西という二人の存在は、非常に重要な意味を持っているのです。

 

宗祖さんたちを紹介するこのシリーズも、次回で最後となります。次回は「座禅と言えばこの人!」といえる道元さんについてご紹介します!

 

品川皓亮