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さよなら因果関係、こんにちは因縁

 
おそらく、「因果関係」は絶対ではない。
 
因果関係とは「原因と結果の関係」、つまり、「ある原因によってある結果が生まれる」という関係だ。しかし私たちは、大きく成功するためには「+α」の要素が必要であることを経験上知っている。
 
仏教では、それを「」と呼ぶ。結果は原「因」と「縁」が絡まり合って生まれる――これが「因縁」の考え方だ。「縁」は人知を超えた巡りあわせであり、私たちにコントロールできるものではない。
 
中道」(極端がないこと、偏らないこと)は仏教の重要なコンセプトだが、因果の法則から少し離れて因縁という視点を持つことで、人生の良い時も悪い時も、自分を見失うことなく中道を保てるように思う。
 
何かに成功したとしても、それは決して自分一人の力ではなく、周りの人々と縁のおかげだ。何かに失敗したとしても、それは決して自分一人の努力不足ではなく、縁がもたらした結果に過ぎない。「成功は努力の賜物、失敗は怠慢のせい」という考え方は、やや傲慢な気がする。人間の力はそんなに大きくない。
 
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どんなに努力しても、縁がなければ望む結果は得られない。だから、「人生はままならないものである」と仏教は説く。本来的に「ままならないもの」を無理やり思い通りにしようとするから、ひずみが生じる。冬に桜が咲くように四苦八苦するよりも、やがて来る春を待つ方がいい。
 
諦観とは、「ままならないものである」ということを受け入れること。「諦める(あきらめる)」とは「明らめる」、すなわち、真理の一片が明らかになることだと思う。