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【意外とすごいコーチング技術】相手に気づきを与え「会話価値」を高めるオートクライン

 

今日は、ある会話により各話者が得るメリット(情報や気づき)の総量を仮に「会話価値」と呼ぶ場合、日常の会話価値を高めるための武器になる考え方について書いてみようと思う。
(僕はコーチングを体系的に学んだわけではないけれど、日常の中で色々試してみているので、そこでの発見を少しずつ書いていきたい。)
 
 
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さて、「オートクライン」という言葉、ご存知だろうか?
 
コーチングでは超基本的な理論で、自分が話した言葉を自分で聞くことにより、自分の考えに気づくことをオートクラインというそうだ。(もともとは医学用語らしい。)
 
すなわち、ホルモン分泌には、
 
①1つの細胞が出したホルモンが他の細胞に作用するラクライと、
②1つの細胞が出したホルモンがその細胞自体に作用するオートクラインという、
 
二つの形態がある。
 
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これを人と人との会話にあてはめると、
 
①AさんがBさんに話をすることで、BさんがAさんの考えを理解するのがラクライにあたり、
②AさんがBさんに話をすることで、Aさんが自分の考えに気づくのがオートクラインにあたる。
 
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AさんがBさんに話をするとき、Aさんは自分でも自分の声やアイデアを聞いている。
そのため、Aさんは自分が本当に欲していることに気づいたり、それまで言語化されておらず未整理だった情報を、整然とした言葉に落とし込んだりすることができる。
これが、コーチングでいうところのオートクラインだ。
 
 
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Aさんがコーチングを受ける場合、コーチはAさんとの会話を通して、オートクラインによりAさんの無意識を顕在化させることを目指す。 
そのための大きな武器の一つが、「質問」だ。
 
ラクラインを引き起こすため、コーチは「広げる質問」「深める質問」をする。
例えば、Aさんが「私、初対面の人と楽しく会話することだけは昔から得意なんですよね」と言ったとき、「他に得意なことは?」と聞くのが「広げる質問」、「なぜそれが得意なんだと思う?」と聞くのが「深める質問」だ。
 
そして時々、コーチは意図的に「強い質問」をぶつけることでAさんの意識に揺さぶりをかける。
例えば、「で、結局Aさんは何がしたいの?」「Aさんの人生で絶対に失いたくないものを一つ挙げるとしたらそれは何?」といった感じで。
「強い質問」が奏効すると、Aさんのオートクラインは一気に加速する。
 
 
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誰かに人生相談をされた時はもちろんだけど、営業先で商談をする際や、上司や先輩にアドバイスを受けている時なども、できるだけ「自分が相手のオートクラインを引き出してやる!」という意識で質問を投げかけるようにしている。
会話をしている両者にとって会話価値の高い時間になればいいなーと思っているのだけど、なかなか難しい。
 
ミヒャエル・エンデ「モモ」みたいになれたら素敵だ。