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愛嬌も可愛げもないなら、どこで勝負しよう?

 

同世代の起業家や社会で突き抜けた結果を出している人たちを見ていると、彼らの多くは、圧倒的に「人の懐にスッと入っていく技術」に長けているなぁと思う。「愛嬌」群を抜いていると言ってもいい。

彼らはいつでもチャーミングで周りの人を笑顔にし、自然と心を開かせる。愛嬌のあるコミュニケーションをとることができる人には多くの協力者が集まり、結果、物事がすごいスピードで進んでいく。

『人間通』という本の中で、著者の谷沢はこの素養を「可愛げ」と呼んだ。人から好かれ社会で事を成していくために、この「可愛げ」が必要な要素だという。

 

人間通 (新潮選書)

人間通 (新潮選書)

 

 

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しかし、この「可愛げ」を一朝一夕で身につけるのは容易ではない。「自分には『可愛げ』があるから大丈夫だ!」と自信を持って言える人はそう多くないだろう。

なぜなら、愛嬌や可愛げは、ある種の天賦の才だからだ。
キラキラと輝いている(ように僕らからは見える)人たちの愛嬌や可愛げは、まさに天から授かったものであるように思えて仕方ない。いくら自分が頑張っても、彼らと同じようにはなれないと思ってしまう。

しかし、そんな僕たちに、谷沢は次のような言葉をかけてくれる。
 

可愛げそのものは自作自演できなくても、その一段下のところを目指すことは可能である。可愛げの次に人から好まれる素質、それは、律気、である。秀吉は可愛げ、家康は律気、それをもって天下の人心を収攬した。律気なら努めて達しうるであろう。律気を磨き上げればほとんど可愛げに近づくのである。

 

 

 

…なるほどなぁ

 



努力によって可愛げを身につけるのは簡単ではないが、「律儀さ」なら心がけ次第で演じきることができる。そして「あいつは律義なやつだなぁ」とか「丁寧な人だなぁ」と思ってもらえれば、それは可愛げと同じくらいに強い魅力になる。
可愛げが一瞬で点火できるマッチだとすると、律儀さはじっくりと人の心を温めることができる薪のような存在だ。律儀さは、「後からジワジワきいてくる」武器かもしれない。

そして、律儀さを演出するためのポイントは「杭を2本以上打つ」ことだと思う。

まず、「1本目の杭」を打つ。仕事で誰かと打合せをする際には、日程調整をメールでやりとりするだけでなく、お会いする少し前にご挨拶の電話をしたり、事前に有益な情報を送ったりする。

そして、「2本目の杭」を打つチャンスも常に狙い続ける。
打合せ後にテンプレ的なお礼メールを送ってから、さらに何か気の利いた情報を提供したり、心からのお礼の言葉や気づきを様々な方法でお伝えする。時にはアナログな手法の方が効果的な場合もある。

このように「2本の杭」が打たれた瞬間、相手の心の中では、杭と杭の間に「律儀さ」というロープが張られることになる。点と点がつながり、「律儀さ」という線になるのだ。

「私は律義な人間です」という一貫したメッセージを、2つ以上のアクションを通じて伝えることができる。

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実際には日々の仕事の中で「律義」をキープし続けるのはなかなか大変で、ついつい「まぁいっか」が出てきてしまうのだけれど、それに打ち克てるかが勝負の分かれ目だと思う。天性の可愛げを持ち合わせていないのなら、ここで勝負するしかない。


丁寧に、律義に。


こういう戦い方も、きっと武器になる。