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オン・ボーディングの成否は「アンフリーズ(解凍)」で決まる

先日、LiBの教育機関「LiBzAcademy」の立ち上げについて書いた記事の反響が大きかったので、今日はその続きを!

LiBzAcademyは、一言でいうと、オン・ボーディング(新規採用した人材の定着、戦力化、活躍までの一連の流れを設計すること)を成功に導くための教育機関だ。今回は、「ベンチャー企業のオン・ボーディング施策において一番重要なことは何か?」というテーマを考えていきたいと思う。

オン・ボーディングといえば、普通は、会社のルールや価値観、業務のやり方を「教える」ことに注意が行きがちだ。しかし今回は、「教える」前にやるべきことがあるという点を強調していきたい。
キーワードは、「アンフリーズ(解凍)」だ。

【アンフリーズ(解凍)とは?】

そもそもLiBのオン・ボーディングのプログラムは、

①アンフリーズ:Unfreeze(解凍)

②チェンジ:Change(変化)

③リフリーズ:Refreeze(再凍結)


というプロセスに沿って設計している。

※「アンフリーズ→チェンジ→リフリーズ」という組織変革プロセスの理論については、リンクアンドモチベーション社の小笹会長が著した以下の書籍がとてもわかりやすい。

  また、「レヴィンの変革モデル」としても有名。

matome.naver.jp

 

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「Unfreeze(解凍)→Change(変化)→Refreeze(再凍結)」というプロセスは、組織を変革しようとする時には、メンバーに変化を求めるだけではうまくいかず、一度「溶かしてから」形を変え、その後にその「形」を固めることが大切だというアプローチだ。

よくある例え話として、「どうすれば、四角い氷を丸い氷へ変えることができるか?」という問いがある。四角い氷を無理やり削ってもきれいな球体にはならないし、下手すると壊れてしまう。
そうではなくて、氷をいったん溶かしてから(Unfreeze=解凍)、丸い型にはめて(Change=変化)、最後にもう一度凍らせる(Refreeze=再凍結)のがベストな方法だというのが答えだ。

組織変革においては、新しい方針や価値観をいきなり押し付けるのではなく、人や組織の気持ちやあり方を一度「溶かす」ステップを経ることで、大きな効果を期待できるというのがポイントになる。

 

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【オン・ボーディングへの応用】

LiBでは、上記の組織変革に関する理論を、そのままオン・ボーディングに応用している。

すなわち、新メンバーたちに、いきなり会社の価値観やバリューを教え込んでも(「Change=変化」を求めても)、それを心から腹落ちさせるのは相当に難しい。
そこでまずは、新メンバーそれぞれに、それまでどんな人生を歩んできたか、自分はどんな時に喜び悲しむのか、前職ではどんな行動が賞賛されどんな禁止事項があったか…などを自己開示してもらう。これが、オン・ボーディングにおける「Unfreeze=解凍」の作業だ。

新しい会社の「正解」をインストールする前に、入社直後の2~3日間を使って、このようなUnfreezeのための時間をあえてとるのがポイントだ。僕たちは、これをラポール・セッション」と呼んでいる。(「ラポール」とは、コミュニケーションや人間関係の土台となる信頼関係のこと)

新しい会社に入るということは、パソコンのOSを変えることに似ている。
それまでWindowsでは起動していたソフトが、OSをMacに変えたとたんに使えなくなってしまうことがある。それと同じで、せっかく優秀な人でも、新しい会社に求められる価値観や振る舞いに適合できなければ、そこで活躍することはできない。

そして、新しい会社の価値観に適合するためには、何よりもまず「新しい会社のOSは、これまで自分が持っていたOSとは違う」ということを理解しなければならない。
自分や他人の自己開示を通じてその認識を徐々に芽生えさせることが、ラポール・セッションの重要な目的だ。
ラポール・セッションは、新メンバーの心理的安全の基礎を築くと同時に、「新しいOS」を受け入れ吸収するための準備体操という意味合いもある。

ちなみに、3ヶ月のLiBzAcademy期間のうち、バリューやカルチャーに関するステップは以下のイメージで設計している。

 

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オン・ボーディングが上手くいくかどうかは、初めに効果的なUnfreezeの時間を取れるかにかかっている。ここが、知恵と工夫の発揮のしどころである。