ググッと考える!

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社員70人のベンチャーで、セールス組織の教育機関を立ち上げた話

 LiBに入ってから2年が経った。
ここ数ヶ月は、LiBに新しく入る中途社員(特に法人営業やキャリアアドバイザーなどのセールスメンバー)に向けた教育機関「LiBzAcademy」の立ち上げをぐっと進め、だんだん良い具合に仕上がって来た。

LiBzAcademyの全体像は以下のイメージ。

 

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ざっくりいうと、3ヶ月間で

①成果創出できる存在になる(左側の柱)
②バリュー体現できる存在になる(右側の柱)

という2本柱でプログラムを組んでいる。(「バリュー」=LiBが大切にしている3つの行動規範)

①と②についてそれぞれ卒業条件が設定されていて、それをクリアすると晴れて卒業できる。今回は、約2ヶ月でLiBzAcademyを立ち上げ、軌道に乗らせた時に気をつけたポイントをいくつか共有したいと思う。

 

※           ※           ※

 

【1】ミッションの設定

まず、LiBzAcademyのミッションは以下のように設定した。

早期活躍&長期活躍  新しい仲間のロケットスタートを支援する

新入社員を早期に立ち上がらせ、かつ、長期間活躍し続けるための「発射台の仕組み」を作ることが、LiBzAcademyの使命だ。

 

【2】社内プレゼンスを上げる

言うまでもなく、新入社員は会社の未来を創る存在だ。これから社員数が爆増していく予定の中、会社の業績成長を牽引するのは新入社員であり、それを支えるのが教育機関の仕事である。
新入社員の早期活躍と長期活躍のためには、新入社員の社内プレゼンス(=存在感)を上げる必要があり、その前提として、教育機関自体のプレゼンスを上げなければならない。
新入社員が自身を持って活躍するためには、教育機関の社内でのブランディングが何より大切だと思う。

(具体的な工夫)
・タイトルにこだわる
教育機関に、できるだけかっこいい名前をつける。Teach For Americaのように、そこを卒業することが一つの「名誉」になるようなイメージを社内に植え付ける。

・アイコンを作って使いまくる
LiBzAcademyの理念やコンセプトを表すアイコンを作り、あらゆる資料に使いまくる。
↓こちらのアイコンは、社内のデザイナーさんと相談しながら作った。

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・社内発信を続ける
月初のキックオフ、毎週の朝会などを利用して、LiBzAcademyの内容と新入社員の成長ぶりを発信することで、既存社員にLiBzAcademyの意義を発信し続ける。

・新入社員からの発信
これは新入社員が自発的にしてくれて、めちゃよかった。入社して1週目から、自発的に毎週金曜日に社内のSlackで自分たちの成長具合やコンディションを発信してくれ、社内が感動の嵐に包まれたという(笑) そしてたまにその発信をさぼると「今週あれないの?」と怒られてたw 

こんな感じ

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【3】教育機関の成果指標を新入社員の「業績」に置く

業績目標を持つセールス組織のメンバーについては、LiBzAcademyは彼らの「入社から3ヶ月目までの目標達成率」を成果指標に置いた。LiBzAcademyは、新入社員の業績貢献にコミットする機関である。
教育の領域は定性的な判断基準になりがちだけど、あくまで定量的にLiBzAcademyの成功度合いをモニタリングすることで、施策も明確で具体的になる。
 

【4】適切な時期に「希望の礎石」を置く

ベンチャー企業の場合、大半の中途社員は夢や希望を持って入社してくる。問題は、日常業務に追われる中でだんだんと疲弊していき、その夢や希望を忘れてしまったり迷いが生じてしまったりすることだ。
それを防止するために、LiBzAcademyでは「希望の礎石」を置いている。
希望の礎石とは、心の中にある希望を整理し、言語化し、誰かに伝えることで形成される、辛いことに打ち勝つための「より所」のことをいう。

 

(具体的な工夫)

LiBzAcademyでは、入社3ヶ月目が終わるタイミングで、

・卒業試験=LiBで守るべきルールなどに関する筆記試験
・卒業制作=入社した理由や思いなどに関するblog記事の作成(Wantedly記事など)
・卒業発表=全社員の前での「成果」と「バリュー」に関する3ヶ月の成長をまとめたプレゼンテーション

が課される。これに卒業式を加えた各種セレモニーが、「希望の礎石」としての役割を果たす。3ヶ月間実際に働く中で仕事の仕方や自分の課題もわかってくるので、入社直後よりも「希望」が更にリアリティを増す。

 

【4】成長を科学する

教育機関の成否のカギを握るのは、言うまでもなくコンテンツの中身の部分だ。まだ研究中なので偉そうなことは言えないけど、その会社における「成長」を科学してプログラムに反映させることが何より大切だと感じている。

 

(具体的な工夫)

・「教える」プログラムと「考えさせる」プログラム
先ほどのプログラム概要の図の中にある「業務理解」とか「基本スキルの習得」は、「教える」プログラムが中心となる。
これに対し、「役割理解」(その仕事が社会に提供している価値や、社内での役割についての理解を深める)については、「考えさせる」プログラムが中心となる。
 
・「成長ステップ」を意識したプログラム設計
「教える」プログラムについては、成長のステップに基づいた設計が必要。「簡単なことができるようになってから、より難しいことを教える」ということだ。
入社直後、一定期間はOJTを一切やらせず、基本スキル習得のためのレクチャーやロープレだけをやってもらう。基本スキルについての試験に合格してはじめて、OJTを開始できる。

短距離走を走らせる
特に入社初期は、迷わせない、ブレさせない、ノイズを消すことが重要。そのために、「長距離走ではなく短距離走を走らせる」ことに重きを置いている。
これは、「1ヶ月や四半期の目標」にフォーカスするのではなく、「1週間のゴール」(場合によっては「1日のゴール」)を細かく設定し、それに向けて走り切るということだ。社内ではこれを「今週の100点仕事」と呼んでいる。
1ヶ月後の目標に向けてあれこれ考えるよりも、1週間毎に「100点仕事」をクリアできたかによって喜んだり悔しがったりする方が、感動の総和が増す。

・全体像を見せる
ベンチャーに入ってくる新入社員はとにかく不安だと思う。その不安を少しでも払拭して「自分に期待されている成長のステップ」を把握するために、事前にプログラムの全体像を見せることも大切。

※           ※           ※  

 

本当はLiBzAcademyのこだわりとしてシェアしたい内容が他にもあるので、それはまた後日書きます。
今日はここまで!

【3ヶ月の実践で学んだ】組織のナレッジ共有を加速させる5つのステップ

 

1月からの3ヶ月間、所属する組織の中で「成果を出すためのノウハウや知見がメンバー相互間で共有・活用される環境が整っていない」という課題に取り組んだ。
そこで「個人の暗黙知を組織の共有知(=ナレッジ)に昇華させ、その共有知により組織のメンバーが成長する仕組み作り」をテーマとし、様々なことを試した。仮にこれをナレッジマネジメントと呼ぶとすると、その具体的な手法を考える前提として、この3ヶ月間で、以下のような学びを得た。

※           ※            ※

例えばここに、10人のセールスチームが2つあったとする。チームAではナレッジマネジメントが機能しておらず、チームBではそれが実践されている。

さて、ナレッジマネジメントが機能していないチームAには、次のような事象が起こりがちだ。

【チームA】

  • メンバーのうち4人は順調に売り上げを伸ばしているが、残り6人は、成果を出せずに苦労している。4人が6人に「売れる方法」を伝えようとするものの、6人の成績は低空飛行が続き、成長の兆しが見られない。
  • チームに毎年入って来る新人のうち、勘がいい新人は入社後1ヵ月ほどで成果を出し始めるが、大半は1年ほど経ってようやく戦力化するスピード感である。

 
他方、ナレッジマネジメントが実践されているチームBでは、逆の現象が起きる。

【チームB】 

  • 成績トップのメンバーも最下位のメンバーも毎月売り上げを伸ばしているため、チームの成績は上がり続けている。
  • ほとんどの新入社員が入社後数ヵ月後に戦力化し、一人前と認められる活躍をする。

 
ナレッジマネジメントの本質は、金利複利効果と似ていると思う。
100万円をタンス預金していても何の意味もないが、それを複利で運用していけば、数年後には雪だるま式に資産が拡大する。ナレッジもこれと同じだ。


今回は、ナレッジマネジメントが組織内でグルグル回り出すためのステップについて考えてみた。大まかには、以下の通りだ。

ナレッジマネジメントの5ステップ】

暗黙知を言語化する(=ナレッジ化)

②ナレッジを組織で共有する(=共有知化)

③ナレッジを蓄積・格納する

④ナレッジへのアクセスを容易にする

⑤ナレッジの装着・活用フローを確立する

 
メンバーが持つナレッジがうまく横展開・活用されていない組織においては、①〜⑤のうちどこかが弱いのだろうと思う。打ち手を考えるには、自分の組織がどのステップに弱点を抱えているか(どのステップまではできていて、どこからはできていないか)を突き止めることが重要だ。


※           ※            ※

以下、5つのステップについて少し詳しく説明してみよう。 

ステップ① 暗黙知を言語化する(=ナレッジ化)

個人が持っているノウハウ・知恵・経験をコトバにすることにより、暗黙知「ナレッジ」という資産になる。これが個人レベルで行われているのがステップ①だ。

【①が未熟な組織】
そもそもナレッジという概念すらなく、組織・個人において再現性のある「成功の方程式」が生まれない。成績は各メンバーの資質と努力量に依存する。

 

ステップ② ナレッジを組織で共有する(=共有知化)

各メンバーのナレッジが組織全体に共有されることにより、「個人の資産」から「組織の資産」(共有知)に転換する。

【②が未熟な組織】
各メンバーが孤軍奮闘を続ける「個人プレー」の組織。偶発的にスタープレイヤーが生まれることはあっても、その知見やノウハウが組織の資産にならない。

 

ステップ③ ナレッジを蓄積・格納する

ナレッジが特定の場所に格納され、組織に蓄積される。格納の方法はテキスト(文章)だけでなく、映像や音声の場合もある。

【③が未熟な組織】
ナレッジが刹那的に組織内で共有されることはあるが、すぐに流れ去りメンバーからも忘れられる。新入社員は、ナレッジの存在すら知ることができない。

 

ステップ④ ナレッジへのアクセスを容易にする

蓄積されたナレッジが常に更新(最新化)され、誰でも簡単にアクセス(検索・閲覧)することができる。

【④が未熟な組織】
ナレッジを貯めることで満足しているため、せっかく蓄積された資産が使われない「宝の持ち腐れ」状態。③と同様、新入社員はナレッジの存在を知ることができず、ナレッジは文字通り腐っていく。

 

ステップ⑤ ナレッジの装着・活用フローを確立する

勉強会・ロールプレイ・抜き打ちテストなど、メンバー全員に最新のナレッジが装着される仕組みがフローとして回っている。メンバーは組織の資産であるナレッジを活用し、成長し続けられる。 

【⑤が未熟な組織】
各メンバーによりナレッジの活用度合いが異なる。ナレッジの重要性に気づいていないメンバーや新入社員はナレッジの恩恵を受けられない。

※           ※            ※


以上が、この3ヶ月間で学んだというか、気づいた内容だ。
この5ステップを視点に自分の組織を振り返ってみると、ナレッジに関する「健康診断」ができるのではないか。それぞれの打ち手については、追って記事にしたいと思う。


 

さよならだけが 人生ならば


昨日はLiBを3月で卒業する人たちの卒業式だった。来週からみんながオフィスにいないなんてまだ信じられない。

「寂しいな~」

なんて言ってる場合はないけど、やっぱい寂しいなぁ。


さて、この季節にしばしば目にするのが、井伏鱒二が訳したことでも有名なこの漢詩

 

『勧 酒』
コノサカヅキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトヘモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ

 

本当にしみじみ来る…。これを読むだけでも涙があふれてくるんだけど、今日はもう一つ、「サヨナラだけが人生だ」という井伏さんの言葉を受けて寺山修司が作った詩をご紹介。
こっちの詩も、すごく正直で人間くさくて、大好きです。

 

 『幸福が遠すぎたら』 寺山修司

さよならだけが 人生ならば
また来る春は 何だろう
はるかなはるかな 地の果てに
咲いている 野の百合 何だろう

さよならだけが 人生ならば
めぐり会う日は 何だろう
やさしいやさしい 夕焼と
ふたりの愛は 何だろう

さよならだけが 人生ならば
建てた我が家 なんだろう
さみしいさみしい 平原に
ともす灯りは 何だろう

さよならだけが 人生ならば
人生なんか いりません 

 

今回は全然ググッと考えてないけど、まあこんな日もありますね(笑) 

 

愛嬌も可愛げもないなら、どこで勝負しよう?

 

同世代の起業家や社会で突き抜けた結果を出している人たちを見ていると、彼らの多くは、圧倒的に「人の懐にスッと入っていく技術」に長けているなぁと思う。「愛嬌」群を抜いていると言ってもいい。

彼らはいつでもチャーミングで周りの人を笑顔にし、自然と心を開かせる。愛嬌のあるコミュニケーションをとることができる人には多くの協力者が集まり、結果、物事がすごいスピードで進んでいく。

『人間通』という本の中で、著者の谷沢はこの素養を「可愛げ」と呼んだ。人から好かれ社会で事を成していくために、この「可愛げ」が必要な要素だという。

 

人間通 (新潮選書)

人間通 (新潮選書)

 

 

※           ※            ※

しかし、この「可愛げ」を一朝一夕で身につけるのは容易ではない。「自分には『可愛げ』があるから大丈夫だ!」と自信を持って言える人はそう多くないだろう。

なぜなら、愛嬌や可愛げは、ある種の天賦の才だからだ。
キラキラと輝いている(ように僕らからは見える)人たちの愛嬌や可愛げは、まさに天から授かったものであるように思えて仕方ない。いくら自分が頑張っても、彼らと同じようにはなれないと思ってしまう。

しかし、そんな僕たちに、谷沢は次のような言葉をかけてくれる。
 

可愛げそのものは自作自演できなくても、その一段下のところを目指すことは可能である。可愛げの次に人から好まれる素質、それは、律気、である。秀吉は可愛げ、家康は律気、それをもって天下の人心を収攬した。律気なら努めて達しうるであろう。律気を磨き上げればほとんど可愛げに近づくのである。

 

 

 

…なるほどなぁ

 



努力によって可愛げを身につけるのは簡単ではないが、「律儀さ」なら心がけ次第で演じきることができる。そして「あいつは律義なやつだなぁ」とか「丁寧な人だなぁ」と思ってもらえれば、それは可愛げと同じくらいに強い魅力になる。
可愛げが一瞬で点火できるマッチだとすると、律儀さはじっくりと人の心を温めることができる薪のような存在だ。律儀さは、「後からジワジワきいてくる」武器かもしれない。

そして、律儀さを演出するためのポイントは「杭を2本以上打つ」ことだと思う。

まず、「1本目の杭」を打つ。仕事で誰かと打合せをする際には、日程調整をメールでやりとりするだけでなく、お会いする少し前にご挨拶の電話をしたり、事前に有益な情報を送ったりする。

そして、「2本目の杭」を打つチャンスも常に狙い続ける。
打合せ後にテンプレ的なお礼メールを送ってから、さらに何か気の利いた情報を提供したり、心からのお礼の言葉や気づきを様々な方法でお伝えする。時にはアナログな手法の方が効果的な場合もある。

このように「2本の杭」が打たれた瞬間、相手の心の中では、杭と杭の間に「律儀さ」というロープが張られることになる。点と点がつながり、「律儀さ」という線になるのだ。

「私は律義な人間です」という一貫したメッセージを、2つ以上のアクションを通じて伝えることができる。

※           ※            ※

実際には日々の仕事の中で「律義」をキープし続けるのはなかなか大変で、ついつい「まぁいっか」が出てきてしまうのだけれど、それに打ち克てるかが勝負の分かれ目だと思う。天性の可愛げを持ち合わせていないのなら、ここで勝負するしかない。


丁寧に、律義に。


こういう戦い方も、きっと武器になる。

 

 

自分の気持ちに鈍感に、人の気持ちに敏感に。

 

昨日、会社で「自分の気持ちには鈍感に、人の気持ちには敏感になりなさい」という言葉をもらって、たしかになぁと思った。

考えてみると、自分は学生の頃からずっと自分の心や内面に興味があって、いろんな自問自答を重ねてきた。
それによって考えが深まったところもあるのだけれど、反面、意識の大半が「自分」に向けられ、周りをよく観察することが疎かになってしまった。
その結果、自分の中で反射的に生じる感情(「怒られたくない」「恥ずかしいのは嫌だ」「失敗したくない」…etc)に囚われ、本当にしたい・すべき行動にブレーキがかかっていたことがよくあった。

これからはまず、自分の感情に鈍感にならなければいけない。
言葉を替えると、心の中に生まれるマイナスの感情を「コントロールする」のが目下の目標だ。
感情が生まれてくることはどうしようもないし、悪いことではない。
問題は、その感情に自分自身が支配されていることだ。

生まれてくる感情を自分の支配下に置いて、自分の行動をコントロールする必要がある。感情に負けず、「役割を演じきる」ということでもある。

※         ※         ※

 
他方で、当たり前のことだけれど「人の気持ちに敏感になる」ことも大切だ。

これまでもできるだけ想像力を働かせて人の気持ちを想像したり、場の空気を感じ取ろうとしてきたけど、なかなか難しかった。
しかし今回、「人の気持ちに敏感になる」ことを「自分の気持ちには鈍感になる」こととセットで考えようとしたら、ヒントが見えてきたような気がした。

要するに、今まで「自分の気持ち」に向けてきた意識量の大半を、周りの「誰か」に向けてみるのればいいということだと思う。
(これまでは、「自分の気持ちに」ばかり意識を向けていたので、「人の気持ち」にまで向ける意識が足りなかったのかも…)
意識の重心を自分から相手にシフトすること、これができれば、目の前にいる人に喜んでもらうことができるし、もっともっと「人間はどういう生き物か」を知ることができるのではないかと思う。(それと同時に、自分の気持にも鈍感になれる)

できる人は簡単にできちゃうんだろうな。難しそうだけど、がんばろう…。