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大手法律事務所の弁護士から株式会社LiBに移籍! https://www.libinc.co.jp

コロナを生き抜こうとしたらオーシャンズ11みたいなチームになった:「自由と責任」論を超えるもの

新型コロナの恐ろしさが日本中で現実のものになりつつあった数ヶ月前、社内で一つのプロジェクトが始動した。
そのプロジェクトは、世に謳われるような「自由な働き方」を可能な限り推し進めた人材紹介チームを作ろうというもの。

とはいえ、別に「社員に優しい組織を作ろう」という課題感から始まったものではなく、「コロナ禍でも高い成果を出し続けるチームとはどんなものか」を突き詰めて考えた結果、働き方の多様性を広げた形に行き着いたという話だ。

考えてみれば、僕たちLiBは「生きるをもっとポジティブに」をビジョンとして、「女性のライフキャリアを豊かにする仕組み」を色んな角度から作ろうとしている会社だ。
だからこれまでも、「隗(かい)より始めよ」ということで、自分たち自身ができるだけ時間や場所に囚われない働き方を推進しようとしてきた。 

だが今回、僕たちは新型コロナに良くも悪くも大きな変容の機会と必然性を突きつけられ、社内の一つのチームでその先陣を切ることになった。

※           ※           ※

新しい人材紹介のチームは社内の「ハイクラスエージェント部門」として独立し、CxO・経営幹部層や部長・事業責任者の候補となる女性と企業とをつなげるヘッドハンター的な動きをする方針が決まった。

これまでのLiBにはなかった機能を担うチームということもあり、社内から、

  •  大手スタートアップの元CHRO
  •  外資投資銀行出身者
  •  元フリーランス人事&トップエージェント
  •  大手エージェント出身者
  •  人材・組織開発のプロフェッショナル
  •  弁護士(←僕)

などなど、キャラクターの濃いメンバーが集められ、キックオフとなった。

チーム発足時に、事業責任者がオーシャンズ11みたいな、それぞれの専門性を活かしながら協力するプロフェッショナルのチームにしたい」と言っていて、なかなか上手い例えだなぁと思った。
(あと、「オーシャンズ11」の映画は見たことがなかったので、「今度見ておかなきゃ」と思った)

また、はじめに意志を持って定めた大方針は、「企業ニーズの把握や人材の発掘、キャリアのアドバイス・提案、案件の管理に至るまで、一人のエグゼクティブコンサルタントが一貫して行う」というもの。
それが、不確実な外部環境に対峙する中で、各メンバーが最大限のパフォーマンスを出すためにもっとも勝率の高い方法だと見込んだ。

そして、この場所に集まったメンバーが上記の方針で最大の成果を出せる環境が何かを考えた末に、結果としてこんなチームの「働き方」ができあがった。

  •  活動拠点は、東京、鎌倉、名古屋、広島など様々
  •  完全フルリモート勤務もOK。もちろんオフィス利用もOK
  •  週4勤務もOK。平日1日を副業、通学、子育て、ライフワークなどに充てることも歓迎。
  •  フレックスタイム制コアタイム10:30-16:00)←これは全社と一緒
  •  給与体系はかなり「成果報酬型」に近い形。勤務日数や勤務時間、働き方に全く関係なく、成果を出せば出すほど給与が上がる仕組み。

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ここまでの文章だと、とても個人主義というか、メンバー同士の連携などなくそれぞれが勝手に動く専門家集団的な組織に思えるのだか、実際は正反対だった。

スタートする時に話していたのは、柔軟な働き方で顔を合わせる機会も多くはないからこそ、「個人商店化するのは嫌だよね」ということ。

「柔軟な働き方×成功報酬型の給与体系」となると、往々にして個人の売上成果だけを追い求め、チームで成果を出すという意識が希薄になりがちだ。
下手をすると、ナレッジや顧客資産も自分だけで囲い込む・・・みたいなことも起こってくる。

ただ、それまでのキャリアも専門性も将来のWILLもバラバラなメンバーが集まった「オーシャンズ11」の面々において、唯一(?)、共通の価値観になっていたのが、「チームで成果を出さないとつまらない」ということだった。
それぞれが個人商店になって仕事をしたいなら、わざわざこの会社を選んでいない人ばかりだと思う。

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ところで、働き方の議論においては、よく「自由と責任」という言葉を耳にする。
「自由には責任が伴う」といったくらいの意味だろうか。

これは完全な主観だけど、働き方的な文脈で使われる「自由と責任」という言葉は、僕はあまり好きではない。
なぜなら、この5文字の後ろからは、こんな囁き声が聞こえてくる気がするからだ。

「自由な働き方を認めてあげるんだから、ちゃんと責任を果たしてよね」

「責任を果たすからこそ自由な働き方が認められるんだ」

「ほ〜ら、責任を果たせていないんだから、自由な働き方なんて認めてあげられないよ」


ちょっと邪推しすぎかもしれないけど、こんなイメージがある(笑)

もっというと、そんな「囁き声」の背景には、

・成果を出すには「一律の働き方」が必要である
・「一律の働き方」という枠を外すと成果が落ちるはずである

という前提があり、さらにもう一歩踏み込むと、

「一律の働き方」に従わない社員は自分本位(=ワガママ)な人間である

という価値観が隠れている気がするのだ。(主義主張というほどの明確なものではなく、あくまで、アタマの奥底に横たわる無意識的なイメージとして)

というわけで、せっかく新しい組織を作ったのだから、個人的には、「自由と責任」という言葉では自分たちのチームを語りたくないなぁと考えている。

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ここまで書いてきたチームは、立ち上がってまだ数ヶ月。
まだまだ理想とは程遠く、到達したい目標にはぜんぜん達していない。
ただ、少なくとも「打ち出し角度は上々、強い兆しがある」と言って良いと思う。

では、もしこの取り組みの価値が証明され、自信を持って自分たちの話ができるようになった時、自分たちのチームのことをどんな言葉で表そうか。
そんなことを考えてみる。

頭に浮かんだのは、「個性と協働」という言葉だ。

オーシャンズ11」に求められるのは、一人一人の個性を結晶化して、最大の成果を出すことである。
その個性には「働き方」も含まれ、各人がそのユニークネスを最大限発揮すればいい。
個の覚醒、個性の結晶化。
主体性と創造性を解放するのだ。

一方で、僕たちはどこまで行っても、チームワークで成果を出す組織であることは変わらない。「協働」にこそ、自分たちがこの組織に属する意味がある。

個性と協働。
一人ひとりが主体性と創造性を解放し、チームワークで成果を出す組織を作る。

ぜひ、挑戦したいテーマだ。
もちろん、リモートワークやフレックスタイム制の導入にかかわる「最適解」は、業界や職種、社員のスキルセットなどによって大きく異なる。

ただ、「女性のライフキャリアを豊かにする仕組み」をつくる僕たちの会社にとっては、自分たちこそが働き方の多様性や柔軟性を実践し、その有効性を証明しなければ、社会にそれを訴える資格がない

だからこそ、新型コロナの「ピンチ」を「チャンス」に替えることができるこの挑戦を、必ず成功させたいと思う。

 

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※ちなみに、「自由と責任」というもとの考え方自体はとても素晴らしいと思っていて、このNETFLIXの本とかはすごく面白かった。

NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く

NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く

 

 
こんなブログも参考まで。

note.com

 

※また、この本では、「流動性・多様性のあるチーム」の典型例として、「オーシャンズ11」型の組織が紹介されている。 

THE TEAM 5つの法則 (NewsPicks Book)

THE TEAM 5つの法則 (NewsPicks Book)